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【アニメ】作品のクオリティはアニメ制作会社によって左右されるのか

こんにちは、くらくです。

自分の好きな漫画や小説のアニメ化が決定したとき、まずなにを見ますか?

自分のお気に入りのキャラは誰が担当するのか、というところも気になりますが、だいたい初報ではそこまで明かされないですよね。

おそらく多くの人は、まず最初に制作会社はどこか、というところに目を向けるのではないでしょうか?

今回はアニメーション作品のクオリティは製作会社によって左右されるのか、ということについて語っていきたいと思います。

 

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(筆者は業界の人間ではありませんので、憶測、ソースのない根拠等含みます。あくまで素人の意見と思ってご覧ください。また、あくまで絵的な、作画方面でのクオリティに重きをおいた記事になります)

 

 

 

 

 

 

アニメ製作会社って?

まず前提からなのですが、そもそもアニメ制作会社って何なんでしょう?

ウィキペディアによると、アニメ制作会社とは以下のような定義だそうです。

アニメ制作会社(アニメせいさくかいしゃ、アニメせいさくがいしゃ)は、アニメーションの実制作を業務とする会社である。

企画、製作から制作までを行う元請け、元請制作会社から一括して仕事を受注し制作業務全般を行うグロス請け下請け)、作画・背景美術・撮影など制作工程別に仕事を請け負う専門スタジオの3つに分けられる。

 

 

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E5%88%B6%E4%BD%9C%E4%BC%9A%E7%A4%BE

 

つまり、一口にアニメ制作会社といっても、行う仕事は様々だということですね。工程ごとに様々な会社に仕事が割り振られたりするということです。

 

 

 

TVアニメの本社回とグロス

TVアニメは制作が決まった時点で、どの制作会社が受け持つのか発表されますよね。

とはいえ、1クールの作品があったとして、その全ての話数をその制作会社のスタッフで制作する、というわけではないんです

アニメをあまり見ない人からすると、毎回毎回同じスタッフが作っている、と思われがちですが、そんな風にやっていたらとてもじゃないですが回らないんですよね。

アニメをよく見る方ならご存知だとは思いますが、脚本や作画監督など、大きくテロップされる人が毎回違うように、原画や動画スタッフ等も毎回違うわけです。

作画監督の下についた原画マンがチームを組むような感じで担当回が割り振られるようなイメージだと解釈しています。

そのため、各回ごとにクオリティにばらつきが出たり、出来の良い回は”神回”なんて呼ばれたりしますよね。

その差を埋めるような役割をするのが、総作画監督制であったりするわけですが、それは別の話。

 

制作を請け負っている制作会社で作られる1話を本社回とすると、その制作を1話丸ごと下請けに投げて作られるのが、グロスというわけです。

 

 

EDのテロップなんかを見ると、アニメーション制作の項に知らない名前が入ってる、というような場合があると思いますが、こういう時がグロス回になるわけですね。

 

長いスパンで作られる作品に関しては、基本的に重要な回は本社回で、そうでもない回はグロスで、ということが一般的な気がします。

 

とはいえ、変な話、グロス回の方がクオリティが高かったりする場合もあるので一概にどちらが良いはいえないですし、絵コンテなんかは結局は監督が描いていたり、がっつり監修が入ることもあったり、はたまた総作画監督が修正入れまくって違和感がなかったりと、アニメ制作の進歩?によって、視聴者が感じる差というものは少なくなりつつあるのかなと思います。

 

一例を出すと、遊戯王のアニメでは加々美さんが有名ですが、加々美さんは当時ゆめ太カンパニー所属であり、制作のぎゃろっぷの本社回ではなく、ゆめ太カンパニーが担当するグロス回の作監、原画をやっていましたね。

 

 

そもそもアニメ制作に関わるアニメーターって?

毎期毎期20本程度新作アニメが作られているわけですから、アニメーターの数ってそれだけ多くいるわけですよ。

じゃあ、その全員が制作会社に所属しているかと言われたら実はそうでもないんです。

 

都内のアニメスタジオで作られるアニメに参加するアニメーターのほとんどを占めるのがフリーランスだそうです

つまり、結論から言ってしまうと、どこの制作会社が作っているから、といって原画レベルで同じスタッフが作っているとはいえない、ということですね

 

サンライズといえばとても有名な制作会社で、内部にスタジオをいくつも持っています(確か10個くらい)。詳しい方ならわかるかと思いますが、それぞれに特色があったりしますよね。

でもサンライズ社員アニメーターは1人もおらず基本的に全員フリー契約です

スタジオごとに担当プロデューサーが存在し、フリーのアニメータを雇って、それぞれ制作を行なっているというわけですね。

(スタジオごとで特色があると感じるのは、そのアニメーターがフリー契約でずっとそのスタジオにいたりするから、だと解釈しています)

 

では、そのスタッフはどのように集められるのでしょう。

 

基本的には人脈だそうです。

 

まずプロデューサーが担当するアニメにあった監督を決めますよね。で、その監督がよく起用する脚本家や原作者がシリーズ構成のポストに埋まったりします (水島努監督と横手美智子さんとか)。

じゃああとはこういうシーンをかける人が欲しいとなったら、人脈を通じてそれにふさわしいアニメーターを起用していくわけです。

ここまで見れば自ずとわかってくると思います。

 

 

 

作品のクオリティを左右するのは制作会社ではなく主要スタッフの人脈

結局、都内にあるスタジオのような、お抱えのスタッフがいない会社では、どれだけ優秀なアニメーターを抑えられるか、が重要になるわけです。

とはいえ、優秀な人というのは引っ張りだこな訳で、どれだけ参加して欲しくても、その仕事に見合う報酬を出せなかったり、他の仕事との兼ね合いで参加できなかったりする訳です。ここで予算が絡んでくるわけですね。

ただ、予算が多くとれていそうな大作でも微妙な出来の作品もありますし、逆に明らかに低予算な作品でもスタッフの工夫や愛によって、高いクオリティとなっている作品もありますね。

 

アニメーターになるくらいですから、アニメーターさん自身もそれぞれ好きな作品、参加したい作品があり、その希望が通るように仕事をする訳ですから、制作側が思い通りにアニメーターを集められているのかは実際のところよくわかりません。

(この辺は業界の人に聞いてみたいところ)

そういう点も踏まえて、監督をはじめとした主要スタッフがどれだけ人脈を活かせるか、優秀な人を多く雇えるだけの予算を出してもらえるかが重要であるといえます。

 

 

ーーと、いう風に結論付けられそうですが、実際には例外があります。

 

 

 

優秀な社員アニメーターが多数在籍する制作会社も存在する

例えば、シャフト作品を見て「これシャフトだわ」って感じる人が多いと思います(シャフ度とかね)

監督、総監督も新房さんばっかりだったり、尾石演出が光りまくってたり(尾石さんはフリーですが)、シャフトゆえの"作風"と言ったものを感じることあると思います。

 

そのほかにも、木村豪さん、松島晃さんをはじめ優秀なスタッフが揃う「ufotableも撮影技術を生かした美麗なエフェクトやぐるぐるカメラワーク、繊密な背景でその仕事ぶりには定評がありますね。本社に設備が整っており、グロス回を出さないため、わかりやすく高クオリティです。

 

プロメアで話題の「トリガー」も、若手を積極的に育てる方針ではありますが、所属アニメータの個性を前面に出すような、思い切った作風の作品が多いですよね。

 

あとは「P.A.WORKS」なんかも、所属アニメーターが多いため、作品のクオリティに差が生まれにくく、定評がありますよね。

このように、有名なアニメーターが所属するゆえに、クオリティを担保されているような制作会社も多数存在します。

主に映画を制作している会社はこのような傾向が強いように感じます。

 

結論めいたことを言いますが、このような会社に対して「ufotableが担当するなら安心だ」とか「この作品にはシャフトは合わないんじゃないか」とかいうのは一概に間違いではないと思う訳です。

 

とはいえ、これらの制作会社は全て社内スタッフのみでやっていけているのか、というとそういう訳ではなく、ある程度フリーランスを雇って制作をしている訳です。

現在絶賛放送中の「鬼滅の刃」や大人気シリーズ「Fate/stay naight」「Fate/Zero」などTVアニメで超絶高クオリティを実現するufotableでさえ、優秀な若手アニメーターに太いパイプを持っていることを生かして、フリー起用が増加しているようです。

 

どれだけ高クオリティなものを作っている会社であってもフリーランス起用が多い、そうなると、社内だけで作品を作っている会社なんて存在するのか……と思いますが、実はあるんですよね。

それが、京都アニメーションです。

 

 

 

ほぼ全ての工程を自社で行う京アニ

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京アニは協力会社を含めて、音響・編集以外の工程を全て自社で行えるようになっています。(背景は海外の協力会社がほぼ請け負っています)

 

つまり、京アニで作られるアニメに関わるスタッフはほぼ京アニorアニメーションDoの社員であり、例え制作する作品が変わったとしても、ほぼ同じチームで作られたりします。

 

そのため、スタッフ間の連携も取りやすくなるようで、作品のクオリティが上がるのは言わずもがな、作品を通して感じる雰囲気は一目で京アニだ、とわかるようなものになっていたりしますね

 

私たちは画面から得た情報のみで、それが京アニ制作であることを知ることができるほどに、京アニの制作するアニメは独特の雰囲気を醸します

 

つまりどのような原作を扱ったとしても、"京アニ作品"と呼ばれる所以がここにあります。

 

画面から感じる独特の温かさや、業界随一の撮影技術を生かした、様々な切り口で視覚的な楽しさを与えてくれる演出等、京アニならではの作品作りが、京アニというアニメ制作スタジオのファンというものを生まれさせるのです。

 

生え抜きの若手が監督や演出に抜擢されたりして、それがものすごく良いお仕事をされていて、さらにファンを魅了するのです。

 

結局、何が言いたいの?

アニメの制作には多くの人が関わっている。多くのアニメ作品は、制作会社の特色というよりは、監督やプロデューサーの人脈、予算によって作品のクオリティが決まるといっても過言ではないと思う。

 

つまり、

アニメの出来不出来を語るなら、制作会社ではなく、監督などの主要スタッフで語ろう

 

っていうのが今回言いたかったことです。

 

ただ、一概にそう言い切れる訳ではなくて、

アニメ制作会社の特色が現れる場合もあるから、そういう会社の場合は会社で語っていいかもね

って感じです。

 

トリガー作品、京アニ作品と言われるように、その会社の特色が現れる作品は少なくありません。同様に、宮崎駿監督作品、新海誠監督作品など、監督を前に押し出すような作品の示し方も存在します。

 

 

 

さいごに

書きかけの記事が溜まっていくばかりですが、温めていたこの記事を出せて嬉しいです。

自分の周りのアニメ好きを公言する人は、アニメの出来不出来を制作会社で判断したりすることが多い気がします。

確かに、アニメのクオリティを評価するにあたって、制作会社が与える影響というのは少なくないです。ただ、それだけで論じるのは早計だと言いたいのです。

アニメ作品をただ一過性の娯楽として楽しむことを否定はしないです。この世界に数多くある娯楽の一つに過ぎないのですから、暇つぶしとして消化する人がいることに抵抗はありません。

 

ただ、アニメ好きを公言するのであれば、「もう少しアニメーターの方々に目を向けてほしい」と思うのです。

 

アニメを作品として捉えるのであれば、どれほど多くの人が関わり、努力した結果であることか理解し、敬意を払って欲しいです

 

声優ばかりに目を向けている人が多くて少し辟易しますね。(私自身声優さんは好きですが)

 

色々書きましたが、私はトリガー制作というだけで「プロメア」を見に行きましたし、ufotable制作の「鬼滅の刃」を毎週楽しみに見てますし、サンライズ制作のアニメには好きな作品が多いものですから、別に京アニ以外の制作会社さんを貶めている訳では決してないことは理解していただきたいです。

 

最近は、自分の好きな原作を聞いたことがない制作会社が担当することになった、なんてことが結構あったりすると思います。

しかしながら、ちゃんとスタッフを見てみたら有名アニメタが参加していたり、その制作会社の成り立ちをみてみたら、ただ大手制作会社のスタジオの一つが分社化しただけ、みたいなことがあったりします。

そういったところにも目を向けてみると、アニメがより楽しめるようになるんじゃないかなと思います。

最近でいえば、アニメ好きの間でufotable制作の「鬼滅の刃」の19話は作画がすごい、と話題になりました。しかし、原画レベルで語っている人はあまりいませんでした。ufoだからすごい、で止まるのではなく、木村豪さんや阿部望さんの原画がすごいなどというディープな話ができるようになると私は嬉しいです。

 

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京都アニメーションの社員さんの中には、あの事件以降未だに苦しんでいる方が多くいらっしゃるようです。トラウマになって復帰できない方もいると聴きます。そんな中でも懸命に仕事に復帰されている方もいるようです。本当に、心から応援したくなります。

この記事が少しでもそのような方々への助けとなることを願います。

そして、私の大好きな西屋太志さんや池田晶子さん、武本監督の努力の結晶が、今後もっと世に知れ渡り、愛され、永遠となりますように。

 

 

この記事は作画@wiki:https://w.atwiki.jp/sakuga/を参考に書かせていただきました。